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大好きな師匠へ
お久しぶりです。とはいっても前回手紙を差し上げたのはまだ3日前のことなのですが。お元気ですか、師匠。僕がいなくなって、何か困ったことにはなっていないでしょうか。
勿論、師匠が僕がいなくなったくらいで、身の回りのことができなくなるとかそんなことは到底ありえませんが、僕がいないのに師匠が普通の当たり前の生活を送っているというのも、それはそれで悲しいのです。
ああ、こんなことを書いたらなんてわがままな弟子だろうと師匠はお嘆きになるかもしれません。
ですが僕はずっと師匠の元を離れないで育ちましたから、こんなに長い間師匠と離れているのはまるで体の一部を引き裂かれてしまったようで、酷く心細いのです。
天才道士として名をはせる僕も、師匠の前ではまだまだ子供なのかもしれません。
こちらの生活は概ね順風です。僕は集団生活というものにあまり慣れていないので、ときどきストレスを感じてしまうこともありますが、皆、基本的にはいい人たちです。
ですが、用もないのに必要以上にそばにこられたり、すれ違いざまにお尻をなでられるのは、どうにも困ってしまいます。地上では当たり前の挨拶なのかもしれませんが、僕にはああいうことはどうしてもできません。
封神計画の遂行者である太公望師叔は非常な怠け者です。ですが、頭のよさは確かなようです。桃を盗みに行く手はずなど、僕にはこの人が天性の泥棒なのではないかとあきれてしまうことがあります。
陣の立て方も天才的です。とっさの判断力も頼りになる。悔しいけれど、師叔から学ぶことはたくさんあります。
でも、時々人の顔をぼんやりと見つめていることがあります。
僕の顔は師叔にとって眠くなるような顔なのでしょうか。ショッキングな発見でした。
では、師匠。明日があるので、これで失礼します。
ちゃんと返事をくださいね。
あなたの愛弟子 よーぜんより
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